何でも質問箱
2023年11月20日号
審査部審査番号号
ドラッグ・ロスとは?
- 欧米で承認された薬が日本で使えない状況を指します。
欧米で承認された新薬のうち、日本で承認されていない薬の割合が年々増加しています(2012~16年:56%→2016~20年:72%)。その未承認薬の中では血液がん、乳がん、泌尿器がん向けが多く、がん治療薬を中心にドラッグ・ロスが生じています。中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)の薬価専門部会による報告では、ドラッグ・ロスに陥っている医薬品86品目のうち39品目が国内で既存薬がない状態としています。
ドラック・ロスの背景の一つとして、日本人だけを対象とした臨床試験で安全性を確認する必要がある「日本独自のルール」が挙げられます。また、国内では新薬の価格が薬価制度によって年々下がっており、米製薬企業が加入する業界団体は投資の阻害要因になっているとして制度の見直しを求めています。11月14日には、厚生労働省が新薬の早期流通を促進するため、日本独自のルールを近く廃止する見込みと一部で報じられました。新薬価格などまだ課題は残っているものの、今後は日本のドラッグ・ロス解消に向けた進展が期待されています。